定款の肝を押さえる!:株式会社編①登記事項(前編)

定款の肝を押さえる!で取り上げる一番目の法人は、株式会社です。

株式会社は日本国内でもっとも多い法人形態であり、法律の会社法でも会社の定義として株式会社が一番目に記載されています(会社法第2条1号)。

そんな株式会社の押さえるべき定款の肝は、登記事項からスタートします。

事例が分かりやすいように、仮に「株式会社法務の肝」という架空の会社を想定して進めていきましょう。

 

定款と登記事項

株式会社の定款を見直す時、まず押さえておきたいのは登記事項に関わる部分です(もっとも、これはどの法人形態でも共通しています)。登記事項は、法務局の登記所で取得することができる登記事項証明書に記載されており、もともと法人を設立して登記をする際の最初に作成した定款(原始定款と言います)が基になっています。

この登記事項は、法人を運営していく中で変更があればその都度法務局に申請しなければなりません。そして、この登記事項の変更が、定款の変更も必要である場合、株主総会で定款変更が行われているはずです。”はずです”というのは、定款が変更されたことを把握していない経営者が意外と多くおられるからなんです。手元にある現在の定款(現行定款と言います)が現在の登記事項証明書と一致していないと、新規事業展開、補助金申請、事業承継といった法人運営の様々な場面で支障をきたすことになってしまいます。

また、株式会社を設立してからこれまで一度も定款・登記事項の変更をしていない場合でも、会社の現状と相違はないか見直す意味で、現行定款と登記事項証明書の確認はすることをお勧めいたします。

ということで、この記事はお手元に現行定款と登記事項証明書(法務局では「履歴事項全部証明書」を取得しましょう)をご用意してご覧いただくと読みやすくなると思います。

 

定款の構成

ここで、定款の中身に入っていく前に、定款の構成について簡単に触れておきましょう。ご自身の会社の定款と見比べてみてください。

定款には、まず表紙があります。事例の株式会社で言えば「株式会社法務の肝定款」と書かれた表紙です。表紙には、定款が会社設立以後に変更されていると、変更した日付けが記載されていることもあります。表紙がない場合は、1ページ目の1番上に「株式会社法務の肝定款」と記載されています。

続いて「第1章 総則」とあり、そこから「第1条」と始まっていきます。

条文の内容はこれから見ていくとして、大きなまとまりの構成はほとんど共通しているのが定款の特徴です。「第1章 総則」「第2章 株式」「第3章 株主総会」「第4章 取締役(および取締役会)」「第5章 監査役」「第6章 計算」「第7章 附則」という順番で構成されています。中小企業では監査役を置いていない会社も多いので、その場合は「第5章監査役(会)」は記載がなく、以後の章が繰り上がった構成となっています。

その他、会計参与や会計監査人があったり、委員会を設けているとまた必要な章が追加されます。

定款には大事なことがちゃんと項目ごとに書かれているんだなと実感していただけると思います。

 

定款「第1章 総則」と登記事項

それでは、定款の中身を具体的に見ていきましょう。

まずは、登記事項と関連がある定款の項目の中で「第1章 総則」についてです。総則とは一般的・包括的な規定のことを指しますが、定款における総則も会社の一般的な規定を記載していますよ、という意味になります。

では、登記事項に関係がある条文を見ていきます。

① 商号

定款では、ほとんどの場合で第1条として商号が定められています。

事例の「株式会社法務の肝」の定款ですと、

(商 号)
第1条 当会社は、株式会社法務の肝と称する。

というように記載されます。

ここで、会社名を過去に変更しているのに定款が変更されていないのであれば早急に変える必要があります。登記事項証明書は変更後の会社名になっているのに定款は過去のまま、というズレには注意しましょう。また、これから会社名の変更を考えているのであれば定款変更と変更登記の申請が必要なことも考慮しましょう。

そして、最近では中小企業であっても国外へ進出することは珍しくありませんが、現在は会社名をローマ字等を使用した英文表示でも登記することができます(細かいルールは、法務省「商号にローマ字等を用いるとについて」を参照ください)。現在は日本語表示の会社名を用いているところ、国外進出を機に国内外問わず会社名を英文で表示したいという場合は、定款を変更してから変更登記の申請も行いましょう。

「法務の肝」という名称を仮に「Legal Point」としたいとするなら、

(商 号)
第1条 当会社は、株式会社Legal Pointと称する。

と記載します。登記では全角が使用されるので、定款でも全角で記載しましょう。

また、登記上は日本語(又は日本語+英数字)を使用するが、国外では登記上の商号ではなく英文で表示したいときには、

(商 号)
第1条 当会社は、株式会社法務の肝と称し、英文ではLegal Point CO.,LTD.と表示する。

という記載方法もあります。

会社の商号は、その会社の体(てい)を表します。会社の現状に合っているか確認しましょう。

 

今回は、定款の肝を押さえるにあたっての登記事項の説明と、会社の商号について触れました。

次回は、総則の続きに入っていきます。

 

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