下請法と下請取引の種類

下請法(下請代金支払遅延等防止法)では、どのような下請取引、どのような事業規模を対象とするのかが記載されています。つまり、下請法の適用を受けるためには、下請法に定義されている取引内容であり事業規模である必要があります。

だったら下請法に当てはまらなければ不当な取引をされてもいいのか!とはなりませんのでご安心ください(笑)。下請法に当てはまらない場合については後記しますよ。

では、下請法に適用される下請取引を見てみましょう。

下請法では、第二条の第一項から第四項で下請取引の適用対象となる取引内容を定義しています。

  • 製造委託
  • 修理委託
  • 情報成果物作成委託
  • 役務提供委託

 

定義されているのは以上の4つの取引です。
ただし、この区分はあくまで大きなものであって、これらに当てはまる取引内容は実に多岐に渡ります。これらの詳細は次回から順を追ってご紹介します。

 

尚、下請法の適用を受けない取引に触れておきます。

下請法の適用を受けないのは、「建設業者における建設工事の請負契約」です。
建設工事における下請工事は下請法に記載されていません。この場合は、建設業法の適用を受けます。よって、建設業者が下請工事を発注または受注する場合、その取引が違法になるかどうかは建設業法を見ることになります。当然ですが、孫請工事も対象ですよ。

ただし、建設業法の適用を受けるのは「建設業者における建設工事の請負契約」であって、建設業者が行う下請取引がすべて建設業法の適用を受けるわけではないことに注意してください。
例えば、建設業者が建築資材の販売をするにあたって、その建築資材の製造を他の事業者に委託する場合は下請法の適用を受けます。設計図の作成を設計事務所に委託する場合も下請法の適用を受けます。

建設業法の詳細は、国土交通省の「建設業法令遵守ガイドライン」が参考になりますよ。

さらに、下請法は独禁法における特別法だと前回で示しましたが、下請法とは別に独禁法の優越的地位濫用の特殊事例に該当する取引もあります。

公正取引委員会のホームページでは、「物流特殊事例」、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(流通・取引慣行ガイドライン)、「役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針」(役務ガイドライン)などが解説されています。

では、次回以降で下請法の適用対象となる取引内容を一つずつ見ていきましょう。

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