「知的資産」とは①
それでは今回から知的資産経営の説明に入っていきましょう。
知的資産経営を知ってもらうためにまず必要なことは、「知的資産とは何か」です。
これは知的資産経営を説明するうえで避けては通れないのですが、実はこれがなかなかどうして難しいから困ります。というのも、知的資産を言い替えた言葉や同意を表す言葉が他にもあるからなんです。加えて、よく似た言葉も存在する。本来、言葉によって混乱させてしまうことはいけないのですが、説明が難しくなってしまうのが現状です。
ということで、今回は簡単に類似の例を挙げてみましょう。
まず、よく似た言葉が「知的財産」です。
この知的財産という言葉は、もはや一般的に認知されていると言っていいでしょう。ですから経営者の方であればよく耳にすると思いますが、具体的に何かと聞かれると戸惑うかもしれませんね。
知的財産は、「知的財産権」と言うとより分かりやすいでしょうか。特許や商標を取得されてる会社もあると思いますが、そんな「技術や表現といった無形のものに与えた権利」のことをを言います。特許権や商標権、意匠権であったり著作権も含まれます。さらに、こうした権利に加えて、会社に備わる経営上のノウハウや営業上の独自の情報も含めたものが知的財産です。
続いての例は、「ナレッジマネジメント」。
こちらは一般的な認知は分かりませんが、経営に携わっている方にはよく知られていると思います。知識経営とも言われるナレッジマネジメントは、暗黙知(暗黙の知識)が重要な意味を持ちます。この暗黙知とは、簡単に言うと「言葉や図表のような目に見える形では表せない知識」のことです。反対に目に見える形で表すことのできる知識のことを形式知と言います。そして、会社における個人や組織の暗黙知を形式知へと変換し目に見えるようにすることで経営に活かそうとするのがナレッジマネジメントです。
他にも、「無形資産(インタンジブルズ)」「知識資産」「知的資本」といった言葉が存在し、それぞれに微妙に違った概念を持っています。
知的資産の説明をする際、経営者の方は経営をよくご存知だからこそ、こうした言葉と混同をされることはとても自然な流れです。さらに、知的資産と大きな違いがあるわけではなく、目指すところは同じであることもあります。
だとすれば、知的資産とは何か。
次回は知的資産に焦点を当ててみたいと思います。